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652: 21/03/20(土)22:05:02 ID:6F.zv.L1
会社であったこと。

うちの会社は、朝礼でその日の予定と朝礼当番のお話というものがある。









652: 21/03/20(土)22:05:02 ID:6F.zv.L1
別に御大層なものではなく、
「この間塩と砂糖を入れ間違うというありきたりすぎるミスをしました」
とか
「先日ご近所トラブルに巻き込まれました、解決策募集中です」
といった笑いを誘うものから、

「先日ニュースでこんな話をしていて、他人事ではないと思いました」
「政治家の失言が話題になってますが僕はこう思います」
といったちょっと真面目なものまで、大体1分くらい話す。

そして、「みなさんも是非考えてみてください」といった、皆への呼びかけで〆る。

ある時、Aさんという女性が朝礼当番になった。
Aさんはいつも「この間、美味しそうなツナ缶を買いました。猫用でしたが案外いけました」みたいな笑いを誘う系が多かったのだが、その日は違った。

「私は最近、『苦労した人は、その苦しさを知っているから優しくなれる』みたいな話は嘘だと思っているんです。
私に優しくしてくれた人はみんな平穏な毎日を送っていて、余裕のある人ばかりでした。
苦労した人は、苦労しただけ歪んで終わりだと思います。色んな言葉に傷ついて、ただ歪んで終わりです。

その歪みに気づいたときにはもう後戻りできません。

人に優しくするには、常に余裕がないと駄目なんだなと思うようになりました。
みなさんも、後戻りできないなんてことにならないよう、もし余裕が無くなりそうな時ほど落ち着いてみて下さい」

みんな最初はにこやかに聞いていたが、話し終わると(何かあったのか?)という不穏な空気になっていた。

上席達は「Aさん大丈夫?何か辛いことが?」と聞いていたが「なんにもないですよー、大丈夫です」といつも通りニコニコしていた。

その翌日は冬季休暇だった。みんなで良いお年を、と挨拶して別れ、年明け出社するとAさんがいない。
「あいつ出社日間違えたなwww私子も新卒のときやらかしたよなww」と上席達が連絡を取る中、私は休み前の『歪みに気づいた時にはもう後戻りできません』という言葉を思い出していた。
凄く嫌な予感しかしなかった。
(なにかあったんではないか、いやまさか、寝坊であってくれ)
と心臓がバクバクしていた。

朝は笑っていた上席が、夕方には険しい顔になり、

「…ご実家にも電話したが、今朝行ってきますと家を出たらしい。事件か事故かわからないが、Aの行方がわからない。もしAから電話があったら、その時は声を荒らげず落ち着いて話を聞いて、俺につないでくれ」

と終礼で発表。
みんな「Aさん、なんか休み前の朝礼で変なこと言ってたよね」と不安がっていた。

そして翌朝、Aが遺体で発見されたと涙を流して顔を真っ赤にした上席から報告があった。自殺だった。
仕事ではなく、家のことで苦しんでいたらしい。
それ以上の事情はお局さん経由で回ってきたが、Aさんの家はお母さん一人しかおらず(つまり母子家庭)、そのことで、婚約していたグループ会社のBさんから「親に反対されたからやっぱ無しで」と婚約破棄されてしまったらしい。

しかもBさん、周りにもAさんとの性行為など気を使う話題を男仲間やBさんの上司にバラしまくっていたことが後々わかった。

殆ど関わりがない会社だったので、気づかなかった。
お局さんはAさんと仲良しで、Aさんの幼い頃の苦労話などもよく知っていたから余計許せなさそうだった。

その年行われた会社の食事会で、Bさんがニコニコ笑いながら「Aがご迷惑おかけしましたーw」と酒を継ぎに上席や私のところへ来たのも衝撃だった。ブチ切れた上席に怒鳴られ追い返されていた。

何か辛いことがある度に、「歪みに気づいた時には、もう後戻りできません」というあの一言を思い出す。
Aさん、とても優しかった。愛されてた。みんなが泣いたのが何よりの証拠だと思う。


653: 21/03/20(土)22:58:57 ID:0z.gr.L12
>>652
Bとその親が地獄に堕ちればいいですね


編集元: 今まで生きてきて凄く衝撃的だった体験 その28